税や社会保険の免除や減免を受けるなら合計所得を抑えよう

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  • 収入が多いに越したことはないが、収入が増えると税金が増えたり、社会保険の免除や減免が受けられなくなったりする場合がある。
  • 収入 > 合計所得 > 総所得金額等 > 課税所得 という大小関係があるが、免除や減免を受けるためには合計所得を抑えると良い。
  • 合計所得は特別控除を含まないため、納税が源泉徴収で済む上場株式等で資産運用すると良い。

免除や減免を受けるには合計所得を抑えよう

  • 税金や社会保険に対する課税や免除などの条件はいろいろあるが、全額免除や高い減免は合計所得、一部免除や低い減免であれば総所得金額等や課税所得で判定される。
分類対象者 判定対象備考
所得税個人課税所得所得控除後の金額に対して累進課税される。
住民税非課税(均等割)個人合計所得特別控除、繰越控除、所得控除前の所得で判定される。退職所得は含まない。個人住民税が非課税になるかた(武蔵野市)、合計所得金額(大阪市)
住民税非課税(所得割)個人総所得金額等特別控除、所得控除前の所得で判定される。
国民年金免除(全額)世帯合計所得特別控除※、繰越控除、所得控除前の世帯の各所得が対象。※特別控除については公的機関による記載見つからず。活用したい国民年金保険料免除の所得制限(2):前年所得に基づく原則的な基準(マネーの達人)
国民年金免除(一部)世帯課税所得(一部控除除外)扶養親族等控除、社会保険料控除等は含まれるが、生命保険料控除や寄付金控除等など含まれないものあり。国民年金保険料の免除・猶予申請(羽幌町)、保険料の免除制度(大阪市)、免除関係について(市民課)(名護市)
国民年金免除(失業特例)世帯所得?失業の場合、所得を考慮しないという記載と、考慮するという記載の両方があり、詳細不明。国民年金の免除制度について【国民年金保険料の納付が難しい方へ】(龍ヶ崎市)、ご存じですか?国民年金保険料は、退職(失業)による特例免除があります!!(室戸市)
国民健康保険の減免世帯総所得金額等一時金として分離課税される退職所得は含まれない。国民健康保険料の計算方法、通知、軽減について(江東区)、所得が少ない方への国民健康保険料の軽減(立川市)
介護保険個人年金収入+年金除く合計所得(特別控除含む)個人の収入と所得で判定されるが、世帯の課税状況も考慮される。介護保険料の算定の基礎となる合計所得金額とはなんですか。(杉並区)、介護保険料の算定に用いる金額(ひたちなか市)
後期高齢者医療制度の減免世帯総所得金額等保険料の算定方法賦課のもととなる所得金額(東京都後期高齢者医療広域連合)
表 税金や社会保険に対する判定対象の所得一覧(管理人作成)

合計所得を抑えるには源泉徴収される所得を活用しよう

  • 合計所得を抑えるためには、確定申告しなくても良い収入を得る、または、各収入に対する控除がある収入を得る手段が考えられる。
  • 手軽に得られる収入の中だと、給与所得、利子所得、上場株式等の配当所得、上場株式等の譲渡所得が当てはまる。
  • 給与は給与所得控除があり、利子所得は源泉徴収されて所得には含まれず、上場株式等の配当所得、上場株式等の譲渡所得は、源泉徴収ありの特定口座で取引をすれば確定申告しないことも可能になり、所得に含めないことも可能になる。
分類源泉徴収 総合課税 申告分離課税備考
給与所得給与所得控除あり No.1410 給与所得控除(国税庁)
利子所得No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)(国税庁)
上場株式等の配当所得源泉徴収ありの特定口座で納税していれば合計所得に含まれない。
上場株式等の譲渡所得源泉徴収ありの特定口座で納税していれば合計所得に含まれない。 繰越控除あり(ただし合計所得は控除前の金額)No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除(国税庁)
金地金の譲渡所得特別控除あり(ただし合計所得は控除前の金額)No.3161 金地金の譲渡による所得(国税庁)
保険等の一時所得特別控除あり(ただし合計所得は控除前の金額)No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき (国税庁)
退職所得No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(国税庁)
公的年金等の雑所得公的年金等控除あり No.1600 公的年金等の課税関係(国税庁)
FXなどの先物取引に係る雑所得繰越控除あり(ただし合計所得は控除前の金額)No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除 (国税庁)
為替差益、貸株金利などの雑所得
表 所得に対する課税方式の一覧(管理人作成)
  • 上場株式等の配当所得、上場株式等の譲渡所得に対する課税方式は、所得税と住民税とで別のものを選択できる。所得税分は確定申告して税率を抑えつつ、住民税は申告不要として所得を抑えるのも良い。
  • 退職所得は、一時金としての受け取りであれば所得に含まれないことから、あまり気にする必要はない。
  • 60歳以上であれば、公的年金を受け取りつつ公的年金控除を用いて所得を抑えるのも良い。公的年金控除に余りがあるなら、退職所得を年金として受け取るのも良い。
  • 65歳以上の介護保険の判定に使われる所得は特別控除を含むので、金地金の取引や保険返戻金などを活用するのも良い。
  • FX、為替差益、貸株金利などは、所得に算入され特別控除などもないので、免除や減免を受けようと思う人には向かない運用資産である。

まとめ(再掲)

  • 収入が多いに越したことはないが、収入が増えると税金が増えたり、社会保険の免除や減免が受けられなくなったりする場合がある。
  • 収入 > 合計所得 > 総所得金額等 > 課税所得 という大小関係があるが、免除や減免を受けるためには合計所得を抑えると良い。
  • 合計所得は特別控除を含まないため、納税が源泉徴収で済む上場株式等で資産運用すると良い。