- ETFには国内市場で投資できる国内籍と、外国市場で投資できる外国籍がある。
- 国内籍にも外国株式市場連動のETFなどがあり外国資産に投資することは容易。
- 外国資産の方が実質的な税率は高いが、利回りも高いので運用の選択肢になるだろう。
国内籍のETFはお手軽
- 国内籍のETFは、国内の証券会社に口座開設すれば上場株式と同様に購入できるのでお手軽。
- 外国籍のETFも国内の証券会社に外国株式取引口座を追加で開設することで取引できるので、取引すること自体はそんなに手間ではない。外国株式取引の口座開設・お取引までの流れ(SBI証券)
- しかし外国籍のETFは米ドルなどの外貨で決済されるので、為替スプレッドを支払って円を外貨に換えたり、事前に外貨を用意して入金しといたりする必要がある。いずれの場合も、外貨を取り扱うことから雑所得となる為替差益が発生する可能性があり、その金額次第では確定申告も必要となり手間がかかる。
- いちおう、米国株投資で注意が必要な「為替」と「税金」とは?「特定口座(源泉徴収あり)」か「NISA口座」で投資をして、口座内に「米ドル」を残さないのがポイント!のような記事を見ると売買時にひと手間かけることで、為替スプレッドや確定申告の手間を減らす手段はあるようだが手間がかかることに違いはない。
国内籍ETFで外国資産投資が可能
- 国内籍と言っても、外国株式市場の指標に連動するような外国資産を取り扱っているETFは存在する。銘柄一覧(日本取引所グループ)
- 外国籍のETFの方が種類も多く取引量も多いというメリットはあるが、国内籍でも米国株式市場の指標に連動するものなどは1日の売買代金が数億円規模になる。
- そのようなメジャーな指標と連動するETFに投資するなら、国内籍ETFで十分だろう。
外国資産の税率にはやや注意
- 国内資産向けでも外国資産向けでも変わらないところは、源泉徴収される税率は約20%、所得控除などが余っていれば課税対象額を0円にすることが可能なところなど。
- さらには国内籍の外国資産のETFは、2020年から始まった二重課税調整制度により、現地源泉徴収と国内源泉徴収の二重課税問題が解消されている。投資信託等に係る二重課税調整について(楽天証券)
- ただし異なるところは、国内資産には総合課税で申告することによって配当控除が最大10%受けられるが、外国資産にはそのようなメリットはない。
- また所得控除が余っていて確定申告で課税対象額を0円にできたとしても、現地源泉徴収済みの税金、たとえば米国なら10%分、の還付は受けられない。
- そういった事情から、課税総所得が330万円までは10%(695万円までは5%)ほど、外国資産に投資した時の実質的な税率が高くなってしまう。
課税所得金額 | 国内資産税率 | 外国資産税率 | 備考 |
0円 | 0.0% | 10.0% | 所得控除により課税所得0円 |
~194.9万円 | 5.0% | 15.0% | 国内資産は配当控除を適用 |
~329.9万円 | 5.0% | 15.2% | 同上 |
~694.9万円 | 15.2% | 20.3% | 外国資産は源泉徴収税率を適用 |
~899.9万円 | 18.3% | 20.3% | 同上 |
利回りを考えれば外国資産ETFも選択肢に
- 税率を抑えることを最優先するとか国内企業を応援するとかの理由があれば、国内資産を選択するのはあり。
- ただし、利回りという観点で考えると国内資産と比べて外国資産の利回りが1.1倍あれば税率の差は埋まる。実際、外国資産のパフォーマンスはそれ以上あるので、外国資産のETFを投資対象に含めると良いだろう。
まとめ(再掲)
- ETFには国内市場で投資できる国内籍と、外国市場で投資できる外国籍がある。
- 国内籍にも外国株式市場連動のETFなどがあり外国資産に投資することは容易。
- 外国資産の方が実質的な税率は高いが、利回りも高いので運用の選択肢になるだろう。
【編集履歴】
- 2021/06/20 配当原資に対する税率の表を追加。合わせて前後の文面を修正。