太陽光発電のケーブル選定

  • 安全面と効率面からケーブルを選定する。
  • 安全面は、600V対応の断面積2.0平方ミリメートル品以上
  • 効率面は、安全面と電圧降下の許容範囲を満たす中でコストを見ながら

電圧による選定

基本的には600Vまで使える汎用的なケーブルを選定すれば問題ない。
ケーブル選定時にはパネル設置枚数やパワコンが決まっていると思われるが、仕様から最大電圧を確認し、それがかかったとしても許容範囲に収まるケーブルを選定することになる。実際のところ、パワコンが低圧用であれば最大入力電圧も600Vで作られており、パネル構成も最大600Vとなるように夏季の開放電圧×直列数が600Vで収まっているので、電圧はあまり考慮する必要がない。

電流による選定

許容電流の条件は厳しくないので、より線なら断面積が2.0平方ミリメートル以上、単線なら1.6ミリ径以上を選定すれば問題ない。
ケーブルのより線断面積、または単線の径で安全に流せる許容電流が決まってくるが、たとえば5kWクラスのパワコンの定格電圧が300Vとすると定格電流は16.7Aとなる。冬季に短絡電流が流れて1.2倍になっても20Aにしかならない。CV2心1条の断面積2.0平方ミリメートルであれば28Aまで流せるので十分余裕がある。ただし配線施工時に同一の管などに複数のケーブルを収める場合は電流減少係数をかける必要がある。

電圧降下による選定

電圧降下を2%以内に抑えることを目安に選定するのが一般的である。電圧降下を極力抑えるために太いケーブルを選定しても良いが、コストと施工性とのバランスで決めることになる。
 定格電圧×許容電圧降下割合=(35.6/1000)×(L/A)×定格電流
Lは線長、Aはケーブル断面積、35.6/1000は軟銅の標準抵抗17.8Ω・㎟/kmより計算される。たとえば 定格電圧:211V(30.2Vの7直)、許容電圧降下割合:2%、許容電圧降下L=40m、定格電流:16.9A(8.44の2並)とした場合、断面積は以下となる。
 A= (35.6/1000)×(40)×16.9/(211×0.02)=5.7
したがって、少なくとも5.7平方ミリメートルを選定することになる。あまり太くするとコストも上がり施工性も悪くなるので、5.7以上の最小の規格となる8平方ミリメートルの選定となる。

パネルから接続箱までのケーブル選定

接続箱までの1心ケーブルは、断面積が3.5平方ミリメートルを使う。海外製品は4平方ミリメートルのケーブルが使われていることが多いが、日本のケーブルにその規格はないので3.5平方ミリメートルを代用する。安全性の面で問題なく、接続箱までの距離も短ければ効率の面でも問題ない。たとえば、定格電圧:211V(30.2Vの7直)、許容電圧降下割合:0.5%、許容電圧降下L=10m、定格電流:8.44とした場合、断面積は以下となる。
 A= (35.6/1000)×(10)×8.44/(211×0.005)= 2.8
したがって、3.5平方ミリメートル品を10m使ったとしても、電圧降下を0.5%以内に抑えることができる。

まとめ(再掲)

  • 安全面と効率面からケーブルを選定する。
  • 安全面は、600V対応の断面積2.0平方ミリメートル品以上
  • 効率面は、安全面と電圧降下の許容範囲を満たす中でコストを見ながら

【改訂履歴】

2020/06/07 「電圧降下による選定」の例の計算式に、許容電圧降下割合の記載が漏れていたので追記。(計算結果の断面積は元から正しい数値)
2020/06/07 「パネルから接続箱へのケーブル選定」の3.5平方ミリメートル品を使う場合の試算を追記。

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