- 会社員が退職すると社会保険は自分で払う必要があり、健康保険は年金生活になっても払い続ける必要がある。
- 国民年金は所得税や住民税の課税対象となる収入があっても全額免除できる場合がある(ただし免除期間分は減額される)
- 健康保険に全額免除はないが、収入に対する厳しい条件をクリアすることで7割軽減でき、家族構成にもよるが東京都世田谷区では5.7~10.2万円になる。
40~59歳までは国民年金&国民健康保険
- 会社員として勤務していると厚生年金や健康保険組合による健康保険料が給与天引きされるが、早期退職すると自分で社会保険料を納める必要がある。
- 納める金額は家族構成、前年の収入、居住する市区町村によって異なるので、夫婦+子供一人、夫給与収入98万円、妻給与収入65万円、首都である東京都の23区で人口最大の世田谷区、で考える。
項目 | 年額[円] | 免除・減免年額[円] | 備考 |
国民年金 | 398,640 | 0 | 収入によらず20~60歳の人は一人当たり月額16,610円なので、2人分×12ヶ月で計算。国民年金保険料(日本年金機構) ただし収入次第で一部~全額免除があり、左記は全額免除の場合。 |
国民健康保険 | 190,000 | 57,000 | 所得割額は、賦課基準額に対して基礎医療分7.13%+支援金分2.41%+介護分2.41%がかかるが、付加基準額が夫婦ともに0円なので0円。 均等割額は、基礎医療分38,800×3+支援金分13,200×3+介護分17,000×2で計算。保険料の計算方法(世田谷区) ただし世帯収入次第で2~7割の減免があり、左記は7割減免の場合。 |
計 | 588,640 | 57,000 |
- 国民年金は2年分を現金で前納すると2人分で765,100円、15,940円/月・人となる。国民年金保険料の「2年前納」制度(日本年金機構)
- 国民年金で付加保険料を払うと2人分で9,600円、月400円・人の追加納付となる。付加保険料の納付のご案内(日本年金機構)
- 国民年金は前年所得と扶養親族次第で納付を免除されることがある。たとえば給与所得のみで扶養親族等が2名の場合は給与収入が192万円以下で全額免除され、配偶者は給与収入が122万円以下で全額免除される。もちろん給付は免除されている期間の分は減ってしまう。国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(日本年金機構)
- 国民健康保険は世帯収入により2~7割の軽減を受けられることがあるが、国民年金と比べて厳しい条件となる。たとえば、夫給与収入98万円、妻給与収入65万円だと、世帯の所得が53万円となり7割軽減を受けられる。国民健康保険料の均等割額の軽減制度(世田谷区)
- ちなみに、所得税と住民税は、夫給与収入98万円、妻給与収入65万円だけだとともに非課税となるので、収入から引かれるのは社会保険料のみとなる。
- また、もし株式等の配当所得や譲渡所得があっても、源泉徴収ありの特定口座で納税を済ませば、上記の免除や軽減は受けられるので、金融資産を保有している市民に有利な制度となっている。
60~64歳までは国民健康保険(と国民年金の任意加入)
- 60歳になると国民年金の納付義務はなくなる。ただし、未納期間や免除期間がある場合、将来の年金額を増やすために任意で納付することができる。任意加入制度(日本年金機構)
- それ以外は40~59歳の時と同様である。
項目 | 年額[円] | 軽減年額[円] | 備考 |
国民健康保険 | 190,000 | 57,000 | 59歳までと同様 |
65~74歳までは国民健康保険と介護保険
- 65歳からは年金を受給する立場となる。
- 国民健康保険は、世帯に40~64歳の人がいれば介護保険分を払いつつ、65歳以上の人の分は個人で払うことになる。
- 納める金額は家族構成、前年の収入、居住する市区町村によって異なるので、夫婦のみ、東京都世田谷区、夫年金収入153万円、妻年金収入80万円で考える。
項目 | 年額[円] | 軽減年額[円] | 備考 |
国民健康保険 | 104,000 | 31,200 | 所得割額は、付加基準額に対して基礎医療分7.13%+支援金分2.41%がかかるが、賦課基準額が夫婦ともに0円なので0円。 均等割額は、基礎医療分38,800×2+支援金分13,200×2で計算。保険料の計算方法(世田谷区) 64歳までと同様に世帯収入次第で2~7割の減免があり、左記は7割減免の場合。 |
介護保険 | 70,452 | 70,452 | 基準額74,106円に対して、夫は第4段階(係数0.65)の48,204円、妻は第2段階(係数0.3)の22,248円で計算。世田谷区の介護保険料(世田谷区) |
計 | 174,452 | 101,652 |
- 国民健康保険は世帯収入により2~7割の軽減を受けられるのは65歳未満と同様。たとえば、夫年金収入153万円、妻年金収入80万円だと、世帯の所得が0万円となり7割軽減を受けられる。国民健康保険料の均等割額の軽減制度(世田谷区)
- ちなみに公的年金等控除は110万円で、給与所得控除の55万円の倍額であり、さらに公的年金等控除は給与所得控除と併用できるため、年金受給者に有利な制度となっている。
75歳からは後期高齢者医療と介護保険
- 75歳になると国民健康保険制度から後期高齢者医療制度に変わる。
項目 | 年額[円] | 軽減年額[円] | 備考 |
後期高齢者医療 | 88,200 | 26,460 | 所得割額は、付加のもととなる所得金額に対して8.72%かかるが、所得金額が夫婦ともに0円なので0円。 均等割額は、44,100×2で計算。後期高齢者医療制度 保険料(世田谷区) 国民健康保険と同様に世帯収入次第で2~7割の減免があり、左記は7割減免の場合。 |
介護保険 | 70,452 | 70,452 | 65~74歳と同様 |
計 | 158,652 | 96,912 |
- 後期高齢者医療は世帯収入により2~7割の軽減を受けられるのは国民健康保険と同様。たとえば、夫年金収入153万円、妻年金収入80万円だと、世帯の所得が0万円となり7割軽減を受けられる。
まとめ(再掲)
- 会社員が退職すると社会保険は自分で払う必要があり、健康保険は年金生活になっても払い続ける必要がある。
- 国民年金は所得税や住民税の課税対象となる収入があっても全額免除できる場合がある(ただし免除期間分は減額される)
- 健康保険に全額免除はないが、収入に対する厳しい条件をクリアすることで7割軽減でき、家族構成にもよるが東京都世田谷区では5.7~10.2万円になる。