- 10kW弱の太陽光発電システムに、IDECのパワコンPJ1A-A401を3台、2020年末から1年数か月使っていたが、そのうちの1台が故障してしまった。症状としては”7セグメントLED”が点灯しなくなってしまった。
- PV側のブレーカーがONになっていることは確認。
- 取扱説明書のトラブルシューティングに対応する記載なし。
- Amazonのレビューを見ると「故障箇所はインバータパワーモジュールを駆動するゲートドライブ基板(5cmX6cm)」とのこと。
- 結局、パワコンの中古品を購入し交換したところ、無事に発電が再開した。
交換品の購入
- 再度購入するといくらなのか調べてみた。
- 中古を買うならより安価な機器もあるが、同型品であれば交換が簡単なのでそれが良いか。
サイト | 価格 | 備考 |
Amazon | 40,000 | |
ヤフオク | 7,800+送料 | 中古、群馬発送 |
ヤフオク | 28,000 | |
メルカリ | 20,000 | 埼玉発送 |
配線の事前確認
- 配線端電圧
ストリング構成と採用パネルにより異なる。本システムの場合、7直列×37.2V(MOTECH IM60D3-255の開放電圧)=260.4V±数Vから、配線の電圧降下が数Vあることをパワコン側で確認する。⇒曇りの日に確認したところ約235V - 系統電圧
E-O端子間が0V、U-O端子、W-O端子間が100V、U-W端子間が200V。残り2台のパワコンが稼働しているため、おそらく大丈夫だが念のため。⇒100V、200Vを確認
パワコンの事前確認
- 交換用パワコンの状態を取り付け前に確認する。
- 絶縁抵抗
1MΩ以上。パワコンのアース端子とそれ以外のN0,P0,U,O,Wを結線しDC500Vで測定。⇒抵抗が∞を示すことを確認
PVの事前確認
- パワコンの故障原因に、PVの故障の可能性もあるので、PV側の故障の有無を確認する。IDECの施工マニュアルを参考に実施。
- PV側(パワコンから見て)ブレーカー
オフ - 接続箱の接地抵抗
100Ω以下 - P端子の絶縁抵抗
1MΩ以上。P端子から測定する必要あり。またPV専用の絶縁抵抗測定器がない場合、夜間に測定する必要あり。⇒抵抗が∞を示すことを確認 - N端子の絶縁抵抗
1MΩ以上。PV専用の絶縁抵抗測定器がない場合、夜間に測定する必要あり。⇒抵抗が∞を示すことを確認 - 開放電圧
ストリング構成と採用パネルにより異なる。⇒曇りの日に確認したところ約235V
PVの絶縁抵抗測定の補足
- 絶縁抵抗測定器はライン側(プローブ側)がマイナス極性、アース側がプラス極性になっている。「心線に電源の-極を大地に+極を接続する方がこれと極性を反対にした接続に比べて測定値が小さく出るのが普通」絶縁抵抗試験の出力電圧は、なぜマイナスなのですか?(菊水電子工業)とのことなので、小さい値の方でも基準値以上であることを確認するため。※極性により測定値が異なる理由までは調べきれず。
- 汎用の絶縁抵抗測定器を使う場合は夜間に測定する。日中だと絶縁抵抗を測定するための電流と太陽光パネルが発電していることによる電流が混ざってしまうため。太陽光パネル・発電 メンテナンス測定器ガイド(日置電機)
- PVの正極側端子から測定する。地絡が発生していたら負極端子の測定は中止する。負極端子から測定し、かつ、正極端子側で地絡が発生していた場合、「測定器⇒測定器アース側(0V)⇒地絡(0V)⇒PV正極⇒PV⇒PV負極⇒測定器ライン側(-500V)⇒測定器」と電流が流れる。通常は流れない「PV正極⇒PV⇒PV負極」方向に電流が流れるとPVが壊れる可能性がある。※壊れる理由は、バイパスダイオードに定格以上の逆方向電圧をかけるためらしいが、並列接続される太陽電池モジュールをダイオードとみなした時の立ち上がり電圧との比較までは調べきれず。
パワコン取り外し
- 運転スイッチ
停止 - 系統側ブレーカー
オフ - PV側ブレーカー
オフ - 電圧
0V。配線が帯電していることがあるので、ブレーカーをオフの後に確認する。 - 取り外し
取付金具にねじ止めが一か所あり。
配線の確認
- 念のため接続箱からパワコンまでの配線の絶縁抵抗を確認する。絶縁抵抗の判定基準 電気設備技術基準(日置電機)を参考に。
- 線間絶縁抵抗
0.4MΩ以上 - 正極対地絶縁抵抗
0.4MΩ以上 - 負極対地絶縁抵抗
0.4MΩ以上
パワコン取り付け
- 系統側ブレーカー
オフ - PV側ブレーカー
オフ - 運転スイッチ
停止 - 取り付け
起動確認
- 系統側ブレーカー
オフ - PV側ブレーカー
オン - 起動確認
E12表示。系統側ブレーカーがオフなので系統不足電圧となる。 - 設定値確認
デフォルト設定になっていることを確認する。 ※周波数のデフォルトは60kHz。 - 系統側ブレーカー
オン ※50kHzの地域であれば周波数の設定も50kHzに自動的に変更される - カウントダウン確認
C360⇒C000。系統側ブレーカーがオンになりエラー解除
発電確認
- 系統側ブレーカー
オフ - PV側ブレーカー
オン - 運転スイッチ
自立運転 - 停電用コンセント電圧
AC100V。自立運転で発電していることを確認する。 - 系統側ブレーカー
オン - 運転スイッチ
系統連系。系統連系で発電していることを確認する。 - 系統連系確認
数kW表示 - 系統側ブレーカー
オフ - エラー確認
E18表示。系統側ブレーカーがオフなので系統瞬時不足電圧となる。 - 系統側ブレーカー
オン - 投入遅延時間確認
C360からカウントダウン - 復帰確認
数kW表示。停電からの自動復帰も確認。これにて交換作業完了。
故障対応まとめ
- 原因:パワコンが故障していることはわかったが、パワコン内のどこが故障していたかは不明。
- 費用:中古パワコン代7800円+送料
- 時間:夜間測定などもあったが3時間程度
- 今後:新品3台中1台故障という故障確率であったり、交換品も中古だったりするので、また故障する可能性はある。交換取付が楽なのと複数台運用の動作も保証されていることから、価格次第ではあるものの次回も同型品の中古購入が良いだろう。