- 健康保険料、厚生年金保険料などの計算に使われる標準報酬月額は、通常は4~6月の給与等で決まる定期改定と、給与等が大きく変わったときの随時改定で決まる
- ただし、育児休業終了時改定のように自分から申請できる制度もある
- 標準報酬月額が下がることで社会保険料も下がるが、人によってはデメリットもあるので、自身の状況に応じて申請しよう
標準報酬月額の改定方法の一覧
- 月給で働いている会社員を想定して、以下で各改定を比較表にした。
改定種 | 定期 | 随時 | 育児休業終了時 |
改定月 | 9月(給与反映月は会社による。以下同様) | 固定的賃金に変動を生じた月から4ヶ月目 | 育児休業等終了日の翌日が属する月から4ヶ月目 |
対象給与 | 4~6月給与 | 固定的賃金に変動があった月以後の3ヶ月間 | 育児休業終了日の翌日が属する月以後3ヶ月間 |
等級差 | 条件なし | 2等級以上 | 1等級以上 |
申請 | 不要 | 不要 | 必要 |
備考 | 定時決定(算定基礎届)(日本年金機構) | 随時改定(月額変更届)(日本年金機構) | 育児休業等終了時報酬月額変更届の提出(日本年金機構) |
改定申請のメリットとデメリット
- 復職後は働き方が仕事を抑える方向で変わり標準報酬月額も下がることを想定して、メリットとデメリットを整理する。
- メリットは、社会保険料を下げることができる。
- デメリットは、①厚生年金保険料が下がるので将来の年金額が減る、②次の子供の出産を控えている方は標準報酬月額から計算される出産手当金等が減る
- デメリット①については、養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置(日本年金機構)で、子供が3歳未満の間は育休前の標準報酬月額を維持することで回避できる。ただし、デメリット②については回避方法がないので、改定申請するかどうかは自身の状況に応じて判断しよう。
【参考】給与と控除の月ずれ
- 給与支払いと控除の仕組みは勤務先によって異なるので、25日払いの勤務先でこういう場合があるという一例を記載する。
- 支払は、基本給などの固定部分を前払いし、残業代などの変動部分を翌月精算。たとえば4月の給与は、4/30まで勤務していない4/25の時点で、基本給などの固定部分と3月の変動部分が支払われ、4月の変動部分は5/25の給与で支払われる。
- 控除は、所得税の源泉徴収と雇用保険料は支払われる給与等に対して当月控除される。一方、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料は、翌月精算。たとえば定期改定は9月になされるが、それが適用されるのは10月給与から。また、たとえば4/30から育休だった場合、4月の保険料は免除されるので、5月の給与から控除されない。同様に10/30まで育休だった場合、10月の保険料は免除されるので、11月の給与から控除されない。