未成年口座を開設してジュニアNISAで資産運用しよう

  • 子どもがいる人は、2023年12月までに未成年口座とジュニアNISA口座を開設して資産運用すると、子供が成人するまでの運用益などが非課税となる。
  • 投資信託を保有しているとポイントが付くサービスが各社から提供されている。購入を考えている銘柄の付与率が高い証券会社を選ぶと良い。(以下の例の銘柄ではSBI>マネックス>auカブコム>楽天)
  • 未成年口座への入金でも基本は本人名義口座からだが、楽天証券は親権者口座から入金が可能。
証券会社投信ポイント親権者振込カード積立家族紹介
楽天290※1対応(リアルタイム入金)非対応対象外
SBI9,792※2非対応非対応※3対象外
マネックス8,640※2非対応非対応※4対象外
auカブコム1,440※2非対応非対応対象外
証券会社の未成年口座取り扱い比較(管理人作成)
  • ※1投資信託ポイントは試算を簡単にするため、ジュニアNISA口座で160万円(80万円×2年)を年利3%で18年間運用して272万円になると想定。
  • ※2付与率は、三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を想定し、SBIは0.034%、マネックスは0.03%、auカブコムは0.005%で試算。端数切り捨て処理なし、運用による保有金額の増減も考慮なしなので、あくまで概算。
  • ※3SBIは未成年口座ではカード決済対応だが、三井住友カードのつみたて投資は家族カードが対象外
  • ※4マネックスはジュニアNISAについては非対応と記載があるものの未成年口座については記載なし。とはいえマネックスカードには家族カードがないようなのでカード積立も不可。

待機資金がある場合は金利が付くサービスを利用しよう

  • すぐに株式投資などをするわけではないが、1年間などの長期の定期預金に入れるほどでもない資金がある場合は、わずかでも金利が付くサービスを利用するのが良いだろう。
  • たとえば、SBJ銀行のなのかちゃんに100万円を1週間預けると17円(端数切捨て、税引き前19円)が得られる。
  • 利息は少ない場合が多いので、他行への振込手数料がかかるサービスは避けるのが良いだろう。
銀行/信用金庫名サービス名金利期間備考
住信SBIネットSBIハイブリッド預金0.02なしSBI証券と連携
楽天マネーブリッジ0.10なし楽天証券と連携
300万円まで適用
auじぶんauまとめて金利優遇0.20なしauカブコム証券、au PAY、au PAYカードと連携
SBJなのかちゃん0.101週間振込手数料0円(5回まで。以下同様)
SBJ普通預金プラス0.10なし月内最低残高に対して適用
普通預金口座から口座切替必要
東京スタースターワン1週間円預金0.051週間振込手数料110円(3回まで翌月キャッシュバック)
豊田信用金庫スーパー定期預金0.101か月インターネット支店利用時
振込手数料440円(3万円以上)
管理人作成(2022年5月)

国民年金の任意加入制度で年金を増やそう

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像
  • 国民年金に未納期間がある60歳以上65歳未満の人は任意加入制度を利用できる。
  • 5年間で996,600円の納付をすると年金が年97,613円増え、額面でいえば10.2年で元が取れるので、長生きリスクを考えると割に合う投資とみなせるだろう。
  • 自分で資産運用して同等のリターンを得るにはハードルが高く、利回り6%運用しても85.1歳で運用資産が枯渇してしまう。

任意加入制度とは

  • 国民年金に未納期間のある60歳以上65歳未満の人が対象で、希望者が申請して納付することで将来の年金額を増やすことができる制度である。任意加入制度(日本年金機構)、あなたも国民年金を増やしませんか?(令和3年度版)(日本年金機構)
  • メリットは、上述のとおり老齢基礎年金額を増やせること、付加保険にも加入してさらに年金額を増やせること、納付時の保険料が社会保険料控除として扱われるので節税になること、などがある。【記事】自営業の人は国民年金の付加保険で年金額を増やそう
  • デメリットは、納付したお金がいざ必要になったとしても65歳以降の給付という形でしか戻ってこないこと、年金として受け取る際に所得税や住民税の課税対象となること、などがある。後者は給付見込み額が公的年金等控除額などの控除に達しないのであれば考慮する必要はないが。

10.2年で元が取れる

  • 平成3年度の保険料納付額は月16,610円なので、5年間=60ヶ月納付すると996,600円になる。一方、給付の方は40年納付すると年780,900円なので、5年納付による増加額は97,613円になる。
  • したがって納付額/給付増加額=10.2年、65歳から受給すると75.2歳で元が取れる計算になる。納付時に所得税5%や住民税10%を払っていれば、社会保険料控除により実質的な納付額は85%になるので73.7歳で元が取れる計算になる。
  • 2年で元が取れる付加保険に比べると回収期間は長いが、長生きリスクを考えると割にあう投資とみなすことができるだろう。

自力運用で同等のリターンを得るには6%以上の運用が必要

  • 任意加入制度を利用する代わりに、自力で運用する場合と比較してみる。いざという時に別の用途に活用できるメリットもある。しかし、後述するとおりで同等のリターンを得るのはハードルが高い。
  • 60歳から65歳まで年199,320円(16,610円×12ヶ月)を積み立てながら運用し、65歳からは年97,613円を取り崩しながら運用を続けることを想定し、以下に利回りごとに運用資金が枯渇するまでの年数を示す。
  • 5%運用:82.0歳まで
  • 6%運用:85.1歳まで
  • 7%運用:90.5歳まで
  • 6%運用を続けてようやく平均寿命ぐらいまで運用資金が保てる。これより低い利回りでは途中で運用資金が枯渇してしまう。また、納付時に所得税や住民税を払っていて、実質的な積立額が少なくなると、より高利回りで運用する必要があることになる。
  • したがって、未納期間があっても任意加入制度を使わないのが適しているのは、少なくとも6%以上の利回りで運用を続けられる見込みがある人ぐらいだろう。

まとめ(再掲)

  • 国民年金に未納期間がある60歳以上65歳未満の人は任意加入制度を利用できる。
  • 5年間で996,600円の納付をすると年金が年97,613円増え、額面でいえば10.2年で元が取れるので、長生きリスクを考えると割に合う投資とみなせるだろう。
  • 自分で資産運用して同等のリターンを得るにはハードルが高く、利回り6%運用しても85.1歳で運用資産が枯渇してしまう。

自営業の人は国民年金の付加保険で年金額を増やそう

  • 自営業者などの国民年金第1号被保険者は、定額保険料に加えて付加保険料を払うことができるが、ほぼ全ての人におすすめ。
  • 月400円納めた保険料を2年で回収できるうえ、納付時は所得控除もされる。
  • 自分で資産運用して同等のリターンを得るのはハードルが高く、20歳から60歳まで長期積立して65歳から取り崩すとしても、利回り7%以上で運用し続ける必要がある。

国民年金第1号被保険者に付加保険はおすすめ

  • 国民年金には被保険者の状況に応じて第1号から第3号の被保険者がいる。
  • 自営業者などが入る第1号被保険者は、定額保険料に加えて月400円の付加保険料を払うことができる。付加保険料の納付のご案内(日本年金機構)
  • 自分で市役所等の窓口に申請するなどひと手間かかるが、ほぼすべての人におすすめ

納付保険料を2年で回収可能

  • 65歳からの国民年金の給付時に、付加保険の納付総額の半分が給付されるので、2年でトントンの計算となる。
  • しかも付加保険料は所得控除の対象なので、たとえば所得税10%住民税10%の人であれば、実質的には月320円の保険料となるので、2年の受給でプラスとなり、以降は純増。

少ないながらも注意点あり

  • そもそも納付する保険料が少額なので、40年間積み立てても年96,000円の加算額にしかならない。
  • 月400円とわずかとはいえ、何らかの理由で納付を止めるためには辞退申請書を提出する必要がある。
  • 受給前とか受給回数が2回以下とかで死亡してしまうと、納付金額より受給金額が下回ってしまうし、遺族年金などには反映されない。(死亡一時金には反映される場合があるが8,500円だけ。死亡一時金(日本年金機構))

自力運用で同等のリターンを得るには長期にわたって7%以上の運用が必要

  • 付加保険料を納付する代わりに、自力で運用する場合と比較してみる。いざという時に別の用途に活用できるメリットもある。しかし、後述するとおりで同等のリターンを得るのはハードルが高い。
  • 20歳から60歳まで月320円(400円から所得控除20%を除く)を積み立てながら運用、65歳までは運用だけ、65歳からは96,000円(400円×12か月×40年÷2)を取り崩しながら運用を続けることを想定し、以下に利回りごとに運用資金が枯渇するまでの年数を示す。
  • 6%運用:76.8歳まで
  • 7%運用:87.6歳まで
  • 8%運用:∞(取崩し金額より運用による増加分の方が多くなる)
  • 40年の長期積立&7%運用を続けてようやく平均寿命ぐらいまで運用資金が保てる。それより短い積立期間や低い利回りではすぐに運用資金が枯渇してしまう。
  • たとえば会社員を早期退職後に積立を開始した場合などで積立期間が10年程度しかない場合は、長期運用の効果が小さいので16%以上の運用を続ける必要がある。
  • 細かいことを言うと、自力運用時の配当所得や取崩し時の譲渡所得、同様に付加保険料の受給時の雑所得などに税金がかかる。年金に対する税率の方が低くなる場合が多いと思われるので、自力運用のハードルはより高くなるだろう。
  • したがって付加保険を使わないのが適している人は、40年以上の積立期間と7%以上の利回りで運用できる見込みのある人ぐらいしかいないだろう。

【参考】自力運用の資産が枯渇する年数の計算方法

  • 参考までに、①積立時、②運用時、③取崩し時のそれぞれの計算方法の概略を示す。
  • ①積立時:積立金額×年金終価係数(40年)
  • ②運用時:60歳時の積立額×終価係数(5年)
  • ③取崩し時:65歳時の運用額から運用資産が0円になる年数を計算
  • ①、②については検索すれば見つかる情報なので割愛するが、③については少し説明を加える。
  • S0:運用開始時の運用額、Sn:n年目の年末の運用額、とすると、
  • Sn = S0 ×終価係数(n年) – 取崩し額 × 年金終価係数(n年)
  • という関係があるので、Sn = 0となるnについて解く。取り崩し額をXとすると、
  • 0 = S0 * (1+r)^n – X(1+r)((1+r)^n -1)/r
  • n = log_(1+r)[(X(1+r))/(X(1+r) – S0*r)]

まとめ(再掲)

  • 自営業者などの国民年金第1号被保険者は、定額保険料に加えて付加保険料を払うことができるが、ほぼ全ての人におすすめ。
  • 月400円納めた保険料を2年で回収できるうえ、納付時は所得控除もされる。
  • 自分で資産運用して同等のリターンを得るのはハードルが高く、20歳から60歳まで長期積立して65歳から取り崩すとしても、利回り7%以上で運用し続ける必要がある。

iDeCoやマッチング拠出で、所得税や住民税を節税しよう

Gerd AltmannによるPixabayからの画像
  • 60歳以降の資産形成を考えている人は、個人型確定拠出年金(iDeCo)や企業型確定拠出年金(企業型DC)のマッチング拠出で節税しよう。
  • 積立時と受取時に税制メリットがあるので、会社員や主婦などは上限まで拠出するのが良いが、自営業者の場合は上限まで拠出すると拠出しすぎでメリットも限定されるので要注意。
  • 会社勤めなどで退職一時金がある場合は、確定拠出年金の受取タイミングをずらすとさらに税金を抑えられる場合があり、55歳になる年以前に退職して20年後以降に受け取ると退職所得控除が最大化する。

長期投資に回せる資金があるならiDeCoなどの活用を検討しよう

  • iDeCoや企業型DCは原則60歳以降ではないと引き出せないが、60歳以降のための資産形成を考えているなら税制メリットがあるので活用を検討すると良い。
  • 国民に長期積立を促す制度で、選べる金融商品は元本確保型の定期預金、保険などや、元本変動型の投資信託があるので、取れるリスクに応じて選択するところだが、長期で見れば多少の変動リスクがあってもリターンが大きくなる投資信託を選択するのが良いだろう。
  • 拠出額については、iDeCoであれば自分で決められるし、企業型DCであれば事業者の拠出額に加えて自己負担で拠出額を増やすこと(マッチング拠出)も可能だ。後述する税制メリットがあるので長期投資に回せる資金があるならできるだけ多く拠出するのがよい。ただし、これも後述するが自営業者の場合の上限は月6.8万円だが、ここまで拠出するとメリットも限定されるので注意が必要だ。

積立時と受取時の税制メリット

  • まずは積立時。拠出額が所得控除されるので、たとえば所得税が10%、住民税が10%の人が、月2万円を拠出すると4000円の節税になり、30年間で144万円を節税する効果がある。
  • 次に運用中の配当などの利益が非課税になるのだが、無分配型の投資信託でも同じ効果があるので、これについては大きなメリットではないだろう。
  • 最後に受取時だが、一時金として一括の受け取り、年金として分割の受け取り、それらを併用する3パターンがあるが、退職所得として扱われる一括の受け取りを優先し、課税額が大きいなら併用も検討するのが良いだろう。以降では一括の受け取りについて記載する。
  • 退職所得の課税対象額の計算方法は『(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額』である。No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(国税庁)
  • 税額の計算は『原則として他の所得と分離して所得税額を計算します』(同上)で、上記の課税対象額に対して累進課税の所得税がかかる。別紙 退職所得の源泉徴収税額の速算表(国税庁)
  • たとえば、月2万円を30年間積み立てて720万円の拠出金に対して運用がうまくいって1500万円になったとする。退職所得控除は40万円×20年+70万円×10年=1500万円となり、退職所得は0円で非課税となる。iDeCo等を使わずに運用すると売却益の780万円が譲渡所得となり、所得税と住民税による約20%の156万円を節税する効果がある。

拠出のしすぎに注意

  • 上記のようなメリットはあるのだが常にメリットがあるとは限らない。具体的には、自営業者は月6.8万円まで拠出できるが、拠出額を大きくしすぎて相対的に退職所得控除が小さくなるとメリットは限定的になってしまう。
  • たとえば、月6万円を30年間積み立てて2160万円の拠出をしたものの、ほとんど金利の付かない定期預金で運用したり、運用の失敗があったりで2200万円にしかならなかったとすると、退職所得控除は同様の1500万円、退職所得は350万円となる。ここに所得税20%(から控除額42.7万円を除く)で28.3万円、住民税10%で35万円を支払うことになり、40万円の運用益に対して63.3万円の税金がかかってしまう。
  • 仮に運用がうまくいって、2160万円の拠出が4500万円になったとすると、退職所得控除は同様の1500万円、退職所得は1500万円となる。ここに所得税33%(から控除額153.6万円を除く)で341.4万円、住民税10%で150万円を支払うことになり、2340万円の運用益に対して491.4万円の税金(税率21%)がかかってしまう。これであればiDeCoなどを使わずに譲渡所得として扱われた方が税率を下げられる。
  • 拠出額を増やせば、積立時の節税効果もその分大きくなり損をする話ではないかもしれないが、60歳以降まで解約できないリスクを考えると、拠出額を3万円程度に抑えるなどのバランスをとるのが良いかもしれない。

退職一時金と受取タイミングをずらして節税しよう

  • 会社員が退職時に退職一時金をもらえる場合、同じタイミングで企業型DCを一括で受け取ると、税額が増えてしまう場合がある。退職所得に対する税率は累進課税なので退職金の総額によっては税率が上がってしまうためである。別紙 退職所得の源泉徴収税額の速算表(国税庁)
  • そこで退職時は退職一時金のみ受け取り、企業型DCはiDeCoに移管して積立を継続し翌年以降に一括で受け取ると、個々の受取時の金額が抑えられて税率も抑えられる場合がある。
  • 以下で、同時受取、1年後受取、5年後受取を比較したところ、5年後受取が最も税額を抑えられた。逆に1年後の受取の場合は税額が増えている。
受取パターン同時1年後5年後
勤続年数33年33年33年
退職一時金1000万1000万1000万
拠出期間30年31年35年
拠出額720万726万750万
運用益780万780万780万
退職金①2500万1000万1000万
退職所得控除①1710万1000万1000万
課税退職所得金額395万00
所得税①37万00
住民税①39.5万00
退職金②1506万1530万
退職所得控除②1570万1850万
重複期間控除②-940万-940万
課税退職所得金額②438万310万
所得税②45.8万21.7万
住民税②43.8万31万
税額合計76.5万89.6万52.7万
退職一時金と確定拠出年金の受け取りパターン比較(管理人作成)
  • 退職所得控除と課税退職所得金額は、No.2732 退職手当等に対する源泉徴収(国税庁)より計算。
  • 重複期間が考慮されるのは、『前年以前4年内(確定拠出年金の老齢給付金として支給される一時金の支払を受けた年分は前年以前14年内(令和4年4月1日以後に支払を受けるべきものは19年内))に他の支払者から支払われた退職手当等(以下「前の退職手当等」といいます。)がある場合』(同上)とあり、退職所得控除からその期間分を差し引く必要がある。上表の例では、(1000-800)/70+20=22.8⇒端数切り捨てで22年なので、800+70*2=940万円を退職所得控除から差し引く。
  • 所得税は前述のとおり累進課税となる。住民税の税率は10%。
  • iDeCoは国民年金に未加入期間があればその分だけ64歳まで加入できる。2022年の制度改正の概要(国民年金基金連合会)
  • 積立継続時の積立額は月5,000円とした。iDeCoは月々5,000円から始められるため。iDeCo(イデコ)の仕組み(国民年金基金連合会)

退職所得控除の最大化

  • 重複期間が考慮されるのは、『前年以前4年内(確定拠出年金の老齢給付金として支給される一時金の支払を受けた年分は前年以前14年内(令和4年4月1日以後に支払を受けるべきものは19年内))に他の支払者から支払われた退職手当等(以下「前の退職手当等」といいます。)がある場合』なので、退職した年から20年後以降に受け取れば退職所得控除を最大化することができる。
  • 『受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達したら、75歳になるまでの間に、一時金として一括で受け取れます』iDeCo(イデコ)の仕組み(国民年金基金連合会)なので、55歳になる年の12月までに退職して退職一時金を受け取り、75歳になる年に確定拠出年金を一括受け取りすれば、重複期間を考慮せずに退職所得控除を受けられる。
  • なお『前年以前N年以内』というのは確定拠出年金の受け取り年の前年からその年を含むN年間という意味。退職手続きについて(中小企業退職金共済事業本部)

まとめ(再掲)

  • 60歳以降の資産形成を考えている人は、個人型確定拠出年金(iDeCo)や企業型確定拠出年金(企業型DC)のマッチング拠出で節税しよう。
  • 積立時と受取時に税制メリットがあるので、会社員や主婦などは上限まで拠出するのが良いが、自営業者の場合は上限まで拠出すると拠出しすぎでメリットも限定されるので要注意。
  • 会社勤めなどで退職一時金がある場合は、確定拠出年金の受取タイミングをずらすとさらに税金を抑えられる場合があり、55歳になる年以前に退職して20年後以降に受け取ると退職所得控除が最大化する。

【編集履歴】

  • 2022/08/17:退職一時金と確定拠出年金の受取パターン表を追加。例の確定拠出年金の積立期間を勤続年数より短い期間に変更。退職所得控除時の重複期間を14年から19年に変更。全体的に体裁を修正。

外国株等を外貨建て取引する際は為替差益に注意しよう

Steve BuissinneによるPixabayからの画像
  • 為替差益は雑所得に該当し、多くの場合、20万円以下なら確定申告不要
  • ただし損益通算や医療費控除などで確定申告するなら、20万円以下でも申告する必要あり
  • 外貨から円貨にしたり資産を購入したりした時のレートで為替差益を算出しなくてはならない

為替差益は雑所得

  • 国税庁のHPにそのものの記載は見つからなかったが、為替差損益は雑所得と思われる。たとえば『外国株式等の譲渡対価の邦貨換算額相当額が、株式等の譲渡に係る収入金額として取り扱われることとなるため、為替差損益を雑所得として区分する必要はありません。』外貨建取引による株式の譲渡による所得(国税庁)という記載を見ると、雑所得であることが前提となっていると思われる。
  • ちなみに雑所得の説明はNo.1500 雑所得(国税庁)にあるが為替差益の記載はない。

20万円以下は確定申告不要な場合あり

  • 確定申告については、たとえば『給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える』確定申告が必要な方(国税庁)など、いくつか申告が必要な条件があり、いずれも当てはまらなければ申告不要。
  • ちなみに『医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)などの適用を受ける場合は、20万円以下の所得も含めて確定申告を行います』副収入などがある方の確定申告(国税庁)とのことで、雑所得だけ確定申告しないというのはできないと思われる。

為替差益は外貨で資産購入した時にも計算が必要

  • 円建で外国株を売買するときは為替差益を計算する必要はない。【再掲】『外国株式等の譲渡対価の邦貨換算額相当額が、株式等の譲渡に係る収入金額として取り扱われることとなるため、為替差損益を雑所得として区分する必要はありません。』外貨建取引による株式の譲渡による所得(国税庁)
  • しかし円建だと取引のたびに為替手数料が必要になってくる。たとえばSBI証券の場合、為替スプレッドに為替手数料が含まれていて1米ドルあたり0.25円となる。為替取引(SBI証券)。したがって、継続的に外国株に投資するなら外貨で受け取る方が手数料を抑えられる。
  • とはいえ、外貨で受けとった売却金や配当をすぐに次の投資に回せるとは限らない。外貨のまま保有している間に為替差益が発生してしまう場合がありうる。
  • 気付いた時に外貨建てMMFにしておけば為替差益を小さくできるものの発生自体は回避できないし、『為替差益を所得として認識する必要があります』預け入れていた外貨建預貯金を払い出して外貨建MMFに投資した場合の為替差損益の取扱い(国税庁)と回答もしている。
  • 結局、コストを払って円建とするか、手間をかけて取引ごとのレートを記録しておくのどちらかとなる。

レートの確認方法

  • 取引ごとのレートを記録する場合だが、SBI証券では過去の為替取引レートを確認することはできない。過去の為替取引レートは確認できますか?(SBI証券)
  • 国税庁は「電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値については、原則として、その者の主たる取引金融機関のものによることとするが、合理的なものを継続して使用している場合には、これを認める」法第57条の3《外貨建取引の換算》関係(国税庁)という見解なので、合理的に継続利用できる値を使えばよいと思われる。
  • たとえば、外国為替市況(日次)(日本銀行)などを使っても良いだろう。

まとめ(再掲)

  • 為替差益は雑所得に該当し、多くの場合、20万円以下なら確定申告不要
  • ただし損益通算や医療費控除などで確定申告するなら、20万円以下でも申告する必要あり
  • 外貨から円貨にしたり資産を購入したりした時のレートで為替差益を算出しなくてはならない

つみたてNISA枠を使い切ろう

Nattanan KanchanapratによるPixabayからの画像
  • つみたてNISAは40万円の非課税投資枠が毎年あるので、使い切れるように設定しよう。
  • 毎月1回の買付なら33,333円を設定すると、12か月で399,996円でほぼ使い切ることができる。
  • 毎日買付なら1,619円を設定して、さらに『「ボーナス月コース」および「NISA枠ぎりぎり注文」の設定をします』とのこと。つみたてNISA投資枠を使い切ることはできますか。(SBI証券)

枠を使い切るには年内に受渡を完了させる

  • 毎日買付の場合、注意が必要。枠を使い切るには年内に受渡まで完了させる必要がある。
  • 投資信託の売買は4つのステップにわかれている。
  • ①注文:まずは注文から。注文するとその金額が買付余力から差し引かれる。
  • ②締切:営業日の15:00で注文が確定する。ここを過ぎると注文をキャンセルできない。
  • ③約定:投資信託の価額が決まる。
  • ④受渡:数日後に受渡と支払が行われる。その年の取引とみなされるのはこの受渡が完了したものまで。今年のNISA、今年のうちに!2020年非課税投資枠利用期限のご案内(SBI証券)

毎日買付から毎月買付に変更した場合

  • SBI証券では三井住友カードによるクレジットカード払いが可能になった。記事『SBI証券と三井住友カードで投資信託を積み立てよう
  • しかし『積立コースは「毎月」、買付日は「1日」のみです』とのこと。三井住友カードのクレカ積立(SBI証券)
  • 毎日買付設定をしていた場合は少し再設定の手間がかかるので、設定方法を以下で説明する。
  • ① クレジットカード登録
  • ② 既存の毎日買付設定を削除
  • ③ 今年の投資可能枠の残りを確認 ※1
  • ④ 今年の積立投資予定額を確認 ※2
  • ⑤ ③-④で端数があるなら、新規にその端数の現金買付を設定 ※3
  • ⑥ 端数の買付完了後に、⑤の買付設定を削除
  • ⑦ 新規にクレジットカード買付を設定
  • ※1 SBI証券の場合、口座管理⇒口座(円建)⇒サマリーなどに表示されているNISA/つみたてNISA投資可能枠
  • ※2 たとえば今年の積立が5ヶ月あるなら33,333円×5=166,665円
  • ※3 毎月買付の日付を、適宜、次回発注予定日が当月になるようにすると良いだろう

国内籍ETFで外国資産投資をしてみよう

Michael GaidaによるPixabayからの画像
  • ETFには国内市場で投資できる国内籍と、外国市場で投資できる外国籍がある。
  • 国内籍にも外国株式市場連動のETFなどがあり外国資産に投資することは容易。
  • 外国資産の方が実質的な税率は高いが、利回りも高いので運用の選択肢になるだろう。

国内籍のETFはお手軽

国内籍ETFで外国資産投資が可能

  • 国内籍と言っても、外国株式市場の指標に連動するような外国資産を取り扱っているETFは存在する。銘柄一覧(日本取引所グループ)
  • 外国籍のETFの方が種類も多く取引量も多いというメリットはあるが、国内籍でも米国株式市場の指標に連動するものなどは1日の売買代金が数億円規模になる。
  • そのようなメジャーな指標と連動するETFに投資するなら、国内籍ETFで十分だろう。

外国資産の税率にはやや注意

  • 国内資産向けでも外国資産向けでも変わらないところは、源泉徴収される税率は約20%、所得控除などが余っていれば課税対象額を0円にすることが可能なところなど。
  • さらには国内籍の外国資産のETFは、2020年から始まった二重課税調整制度により、現地源泉徴収と国内源泉徴収の二重課税問題が解消されている。投資信託等に係る二重課税調整について(楽天証券)
  • ただし異なるところは、国内資産には総合課税で申告することによって配当控除が最大10%受けられるが、外国資産にはそのようなメリットはない。
  • また所得控除が余っていて確定申告で課税対象額を0円にできたとしても、現地源泉徴収済みの税金、たとえば米国なら10%分、の還付は受けられない。
  • そういった事情から、課税総所得が330万円までは10%(695万円までは5%)ほど、外国資産に投資した時の実質的な税率が高くなってしまう。
課税所得金額国内資産税率外国資産税率備考
0円0.0%10.0%所得控除により課税所得0円
~194.9万円5.0%15.0%国内資産は配当控除を適用
~329.9万円5.0%15.2%同上
~694.9万円15.2%20.3%外国資産は源泉徴収税率を適用
~899.9万円18.3%20.3%同上
法人税引き後の配当原資に対する所得税と住民税を合計した税率(管理人作成)

利回りを考えれば外国資産ETFも選択肢に

  • 税率を抑えることを最優先するとか国内企業を応援するとかの理由があれば、国内資産を選択するのはあり。
  • ただし、利回りという観点で考えると国内資産と比べて外国資産の利回りが1.1倍あれば税率の差は埋まる。実際、外国資産のパフォーマンスはそれ以上あるので、外国資産のETFを投資対象に含めると良いだろう。

まとめ(再掲)

  • ETFには国内市場で投資できる国内籍と、外国市場で投資できる外国籍がある。
  • 国内籍にも外国株式市場連動のETFなどがあり外国資産に投資することは容易。
  • 外国資産の方が実質的な税率は高いが、利回りも高いので運用の選択肢になるだろう。

【編集履歴】

  • 2021/06/20 配当原資に対する税率の表を追加。合わせて前後の文面を修正。

株、ETF、投資信託を使い分けよう

Janine BolonによるPixabayからの画像
  • 人によって、どのような資産の運用効率が良いかは異なる。
  • 株、債券、REITなどの個別銘柄は、それらの知識がある人に適している。
  • ETFと投資信託のどちらを選ぶかは、所得控除額の余りや今後の運用方針による。
個別銘柄の知識所得控除の余り運用方針運用対象
あり株、債券、REITなどの個別銘柄
なしありETF
なしなし短期売買ETF
なしなし長期積立投資信託
運用対象分類

個別銘柄の知識があるなら株・債権・REIT

  • 株・債権・REITなどの個別銘柄の知識があり、市場連動型の投資信託やETFよりも大きなリターンを得られる自信があるなら、個別銘柄を運用するのが良いだろう。
  • 特定の企業を応援したいとか(逆に応援したくないとか)、株主優待が魅力的とかもあるかもしれないが、それらを除けば市場平均と比べて少ないリスクで大きなリターンが得られる自信があるかどうか次第だ。
  • ちなみに株式の売買手数料は、1注文毎の金額で手数料が決まるスタンダードプランの場合、50~100万円に対して535円、1日の注文金額で手数料が決まるアクティブプランの場合、100万円までなら0円なので、投資金額に対して0~0.1%程度となる。手数料(SBI証券)
  • 一方、市場連動型の投資信託やETFは売買手数料がかからないものを選んでも、毎年かかる信託報酬は少なくとも0.1%程度はかかる。
  • したがって、あくまで投資対象の個別銘柄への知識がある場合に限られるが、手数料の観点からも個別銘柄を運用するのが望ましい。

所得控除の余りがあるか短期売買するならETF

  • ETFと投資信託は似ているがETFで運用した方が良い場合が二つある。(ETFのメリットや注意点はこちら⇒記事「ETFで資産を運用してみよう」)
  • 一つは所得控除が余っている場合である。税金の観点から考えると、長期積立している時は配当金や配当金相当額はできるだけ受け取らず、運用会社の方で再投資してもらうのが望ましい。なぜなら配当金などをいったん受け取って自分で再投資したとしても、受け取る際に所得税と住民税がかかるので再投資に回せる金額が少なくなってしまうからだ。しかし所得控除が余っているなら税金を意識する必要はない。
  • もう一つが短期売買などで換金する運用方針の場合である。無分配型の投資信託で配当金への課税を回避すれば、売却時の譲渡益の課税まで徴収を先延ばしできる。しかし短期売買する運用方針であればそのメリットもないので、ETFを選択しても良いだろう。

所得控除の余りがなく長期積立するなら投資信託

  • 投資信託を選択するのはETFの場合の裏返しである。所得控除の余りがなく、短期売買せず長期積立で運用する場合は、投資信託の徴税を先送りできるメリットを利用するのが良いだろう。

まとめ(再掲)

  • 人によって、どのような資産の運用効率が良いかは異なる。
  • 株、債券、REITなどの個別銘柄は、それらの知識がある人に適している。
  • ETFと投資信託のどちらを選ぶかは、所得控除額の余りや今後の運用方針による。

ETFで資産を運用してみよう

Markus WinklerによるPixabayからの画像
  • 初心者向けの運用資産として投資信託があるが、似たような運用資産にETFがある。
  • 投資信託と同様に指標に連動するうえ、株式と同様に即時の売買ができる。
  • さらに保有するETFを貸し出すことで金利を受け取れるサービスもあるが、確定申告が必須になるなどいくつか注意点もあり。

投資信託とETF

  • 投資信託とETFの共通点としては、どちらも指標に連動する資産なので、株式の個別銘柄を保有することと比べるとリスクが小さく、初心者向けなところだろう。
  • 手数料も、投資信託にノーロードで売買手数料がかからないものがあるように、ETFにもかからないものがある。
  • 異なるところとしては、ETFは信託報酬が投資信託より割安なところだが、投資信託も割安なものが出てきているので大きな違いではないだろう。
  • それよりは、株式と同じように即時の売買ができるところがメリットだろう。投資信託は申込から約定して受け渡しまで5営業日かかることもあるが、ETFは成り行きで売買すれば即時取引ができる。
  • また投資信託は売買を申し込んだ時点ではいくらで約定するかわからないが、ETFは株と同じように希望する金額を指値で売買できるのもメリットだ。
  • ただしETFの注意点としては、売買代金や出来高が小さいETFを選んでしまうとなかなか成約しないこともあるので、何を買うかの選択には注意が必要だ。

貸株サービスを利用しよう

  • ETFを買ったら、貸株サービスの利用を検討してみよう。
  • 投資信託には、保有する投資信託に応じてポイントが付与されるサービスがある。投信マイレージサービス(SBI証券)、投資信託資産形成ポイント(楽天証券)
  • ETFには、株式全般に提供されている貸株サービスを利用することで金利を受け取ることができる。貸株サービスについて(SBI証券)、貸株サービス(楽天証券)
  • 同じような投資対象であれば、投資信託へのポイントサービスより、貸株サービスの金利の方が有利なことが多いので、そういう点でもETFにメリットがある。

貸株サービスの注意事項3点!

  • しかし貸株サービスには注意点が三つある。確定申告にまつわる①貸株金利と②配当金相当額、加えて③証券会社の倒産リスクだ。
  • まず①貸株金利だが、貸株サービスでETFを貸すと、預貯金の利息のように金利を得られる。
  • 預貯金の利息が利子所得として源泉分離課税されるのと異なり、貸株金利は雑所得として扱われるので総合課税として確定申告する必要がある。ちなみに住民税は必ず確定申告する必要があるが、所得税は各所得が申告不要制度の対象であれば申告なしも選択可能である。確定申告が必要な方(国税庁)
  • 次に②配当金相当額だが、ETFを貸している間に配当されると、受け取るのは配当金ではなく配当金相当額になる。配当金は配当所得だが配当金相当額は雑所得になる。
  • 配当所得だと、総合課税で確定申告して配当控除を受けたり、申告分離課税で確定申告して損益通算したり、申告不要で源泉徴収で済ませたりできるし、特定口座で運用していれば年間取引報告書を証券会社が発行してくれるので確定申告の作業も容易になる。
  • しかし雑所得なので総合課税しか選択できないうえ配当控除は対象外だし、貸株金利と同様に確定申告も必要だ。さらに特定口座で運用していても年間取引報告書に含まれないので確定申告の際は自分で計算する必要がある。
  • ちなみに、所得税分は源泉徴収されて口座に入金される。貸株サービスの基本ルール(楽天証券)
  • 確定申告の仕方次第で、源泉徴収と総合課税の二重課税は回避できると思われる。貸株って?(松井証券)
  • 国税庁などで明確な記載が見つからなかったので、申告方法に不安がある場合は税務署に確認すると良いだろう。
  • 最後に③証券会社の倒産リスクだが、証券会社が倒産してしまっても自身が保有しているETFや株は通常は投資者保護の対象となっている。分別管理(楽天証券)、分別管理・投資者保護基金への加入(SBI証券)
  • しかし貸している間のETFや株は投資者保護の対象外である。貸株サービスの基本ルール(楽天証券)、貸株サービスのサービス概要(SBI証券)
  • つまり貸したETFや株が戻ってこない可能性がある。証券会社の倒産は多くはないと思うが、貸株金利というリターンに対してETFや株が返ってこないのは大きなリスクだろう。

取れる対処はあるが、やれることは限られる

  • ②配当金相当額については、楽天証券を利用している人なら株主優先・予想有配優先コースを利用すると、配当金が支払われるタイミングで自動的にETFを返してもらえるので、配当金相当額ではなく配当金として受け取ることができる。株主優待・配当金自動取得サービスについて(楽天証券)
  • また、他の証券会社を利用していてそのようなサービスがない場合は、手作業でその時期だけ貸株サービスを停止すれば配当金として受け取ることができる。
  • しかし①貸株金利の雑所得扱いは避けられないし、③証券会社の倒産リスクは財務状況やコーポレートガバナンスがしっかりしている会社を選んだとしてもリスクゼロにはできない。これらのデメリットが受け入れられないなら、貸株サービスを利用しないとか、やっぱり投資信託を利用するとかも検討すると良いだろう。

まとめ(再掲)

  • 初心者向けの運用資産として投資信託があるが、似たような運用資産にETFがある。
  • 投資信託と同様に指標に連動するうえ、株式と同様に即時の売買ができる。
  • さらに保有するETFを貸し出すことで金利を受け取れるサービスもあるが、確定申告が必須になるなどいくつか注意点もあり。

【編集履歴】

  • 2021/06/12 「配当金相当額」の表記のぶれを統一